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身体抑制防止のガイドライン guidelines

医療や看護を受ける高齢者の尊厳を守るためのガイドライン

1. 高齢者の尊厳を守ることにつながる日々の看護

1-1 高齢者が安心して考え、希望を述べることが可能な環境を作る
  1. まずその人が話したいことをよく聞き、言いやすい関係を築く。
  2. 高齢者の家族関係や社会背景を把握する。
  3. 高齢者の視聴覚機能の状態をアセスメントする。
  4. 話に集中しやすい静かで落ち着いた環境を提供する。
  5. 話し合いができそうな気分や体調の時を選び、話をする。
  6. 日々の看護の中に、本人が物事を選択できる機会を意図的に作る。
  7. 自分の考え・希望を「家族の言う通りに」と述べる場合は、その背景を知る。
  8. 高齢者が家族の前で意思を表明できるよう、高齢者と家族とで話し合う機会を作る。
1-2 高齢者のそれまでの日常が少しでも継続できるようにする。
  1. 高齢者本人の語りや言動、家族の語りから、生活を営むために大切にしてきたこと、価値をおく物事を知る。
  2. その人の馴染みのある生活用品を医療・ケアの場に持ち込めるよう配慮する。
  3. その人の好みや生活習慣をふまえたケアの方向性を設定する。
  4. その時々の表情や言葉や仕草を通じてその人の思いを捉え、ペースや希望に合う支援をする。
  5. 出来ることは自分で出来るよう、したいことは自分のしたいように出来るよう見守る。
1-3 高齢者の尊厳を守るため、高めるための行動をとる
  1. 理由なしに高齢者をちゃんづけや愛称で呼ばず、その人の名前で呼ぶ。
  2. 話をするときはその人の目を見て話し、その人の話すスピードを合わせる。
  3. 考える時間や言葉を発するまでに時間がかかる方もいることを考慮し、高齢者の返答をつ。
  4. 認知機能の程度にかかわらず、高齢者が状況を理解している。または受け入れているのかに注意してケア提供をすすめる。
  5. 高齢者がケアを受け入れない言動がみられても、拒否と決め付けずにその理由を確認する。
  6. 頻繁な訴えや繰り返す訴えがみられる場合には、無視せずに答える姿勢を言動で示す。
  7. 社会で暮す成人として、また好みや心地よいスタイルが確立している1人の人として身だしなみを整える。
  8. 日々の言動や周りとのやり取りの様子などを、意図的に家族に伝え、情報を共有する。
  9. その人へのケアが、苦痛を強いることになっていないかどうかを評価する。
  10. 看護職の価値観や業務上のルール・決まり事を押し付けない。
1-4 高齢者の尊厳をチーム全体で守ることが出来るよう調整を行う。
  1. 定期的にケースカンファレンスや事例検討会を行い、その人と家族やケアのあり様に対する率直な気持ちや意見を交換する。
  2. 高齢者にとって良いと思うケアがその人の苦痛の原因になっているのではないかと思うときには、そのような事実や、事実に対する自分の感情を否定せず、カンファレンスで話し合う。
  3. 高齢者の状況に応じたケアが提供されるよう、チームでその人について知っていることや気づいたこと、ケアの方法や内容を共有する。
  4. 効率を優先して高齢者の尊厳が脅かされる生活援助方法となっていないか振り返り、定期的にケアの方法を見直す。
  5. 医療者が最善と考えるプランが高齢者を取り巻く実情(介護力、経済力、地域力)とずれていないか、多職種が持つ情報と合わせ、検討する。
  6. 日頃から、高齢者の尊厳について話し合いができる関係や雰囲気を作るよう努める。
  7. 尊厳を守るためにケアの改善の必要性が認識されても多職種との調整がうまくいかず解決できない時に相談できる窓口を施設に設置する。
  8. 生活の場が移ってもケアが継続されるよう、家族や関係者と情報共有を図る。

2. 治療や療養上の決定の支援を通じ、高齢者の尊厳を守る看護

2-1 全体に共通する看護
  1. 高齢者本人の意思を日常の意図的な関わりを通して理解する。
  2. 高齢者や家族の人生史にある治療や療養上の決定などにまつわるエピソードや体験について語ってもらう。
  3. 高齢者の意思を実現できるよう支援する。
  4. 高齢者が言葉で表明できなくても、表情や仕草などからその人の思いを汲み取る。
2-2 インフォームド・コンセントや病状説明などにおける看護
  1. 高齢者本人がインフォームド・コンセントに必ず同席するように調整する。
  2. 高齢者が医師の説明を理解できているか注意深く観察し、必要に応じて、医師の説明に言葉を補うなどして、手助けする。
  3. 高齢者が医師の説明に対し、質問や疑問、ためらいなどを言葉にできるよう、きっかけを作るなどして促したり、励ます。
  4. インフォームド・コンセントや入院・入所時などの機会を捉えて、事前指示書・意向確認書等を積極的に活用する。
2-3 高齢者本人が意思を表現できる場合の看護
  1. 高齢者自身の情報を家族に伝えてよいのか、伝えてほしくないのか確認する。
  2. 医療者と高齢者・家族がともに医療法人社団 修世会 木場病院・ケアを考える事とができる場を持つことが出来るよう調整し、高齢者本人が意向を伝えられるよう支援する。
  3. 今後の生活状況を予測し、高齢者本人の意向を実現するために社会資源が利用できることを説明し、必要に応じて高齢者の意向に添えるよう多職種や地域福祉関係者を交え話し合い、連携できるよう調整する。
  4. 高齢者が意思決定を家族に委ねることを表明した場合には、高齢者に決定を無理強いしない。
  5. 高齢者本人と家族の意向が異なる場合、それぞれの意向を実現することで予測される結果を説明する。
  6. 家族の状況などから、高齢者の意向がすべてかなえられるわけではないが、その中で折り合いをつけることが出来るよう、話を聞く。
2-4 医療や将来の見通し等に関する理解が不明確な場合の看護
  1. 日々の関わりの中から、意思決定能力のアセスメントを行う。
  2. 高齢者の生活史から、過去の重要な決断の仕方を把握する。日々の関わりを通し、その人がどのように病を意味づけているのかを理解する。
  3. 高齢者が自分の意思に沿い援助されるという経験を積み重ねることが出来るよう、日常の関わりの中で選択できる環境を作る。
  4. 高齢者の状態について家族に話し、その認識や受け止め方を確認する。
  5. 看護職が関わりの中で把握したその人なりの理解力を医師に伝える。説明内容がその人にとって最適となるよう調整する。
  6. 家族の意向が優先される状況を判断したら、アセスメントしたことや看護職自身の意見を伝え、家族の反応に臆せず話し合う。
2-5 判断力の低下や意思表出の困難さのため、代理意思決定が必要な場合の看護
  1. 家族が悩みながら代理意思決定していることに配慮する。高齢者のこれまでの生き方に考えをめぐらし、本人はどのようなことを希望するか、家族間で話し合えるよう促す。家族間での話し合いが難しい場合は看護職が家族の話を聞く。
  2. 家族にとって終末期に関する代理意思決定は、高齢者との別れの過程でもあることを理解し、家族の状況を見ながら個別的に対応する。
  3. 高齢者の死に対する客観的な考え方や経験的な見方をする医療者と家族では、死に対する考え方が異なる場合があることを理解しておく。
  4. 「高齢者その人だったらこう言うだろう」と家族が考え納得して出した決定を尊重し家族の思いに最後まで寄り添う。
  5. 高齢者に近親者がいない場合には、その人にとって最善の医療・ケアが適切に提供されるよう、多職種で検討するよう調整する。また、必要に応じ病院内の倫理委員会等を活用する。
    *成年後見人(成年後見制度)民法858条
    本人対する医療的侵襲行為に対する判断は本人固有のもので、代理権の及ぶものではない。そのため、成年後見人には、治療行為その他の医的侵襲行為について同意権はない。

高齢者を1人の人として尊重するためのチェックリスト

1.日々の看護通じ、その人を尊重するためのチェックリスト

  • 当たり前のように高齢者を愛称で呼んでいないだろうか。
  • 高齢者の能力を過小評価し「どうせ分からない」「これ位は許される」と思っていないだろうか。
  • 高齢者を1人の人としてではなく、モノとして扱ってはいないだろうか。
  • 高齢者が嫌がっていないという理由でケアを押し付けていないだろうか。
  • 高齢者にその人自身の情報を提供しているだろうか。
  • 高齢者その人が持っている力を信じ、見出しているだろうか。
  • 排泄感覚にある高齢者に、オムツでの排泄を強要してはいないだろうか。
  • 美味しく食べることより、量を食べることを優先してはいないだろうか。

2.治療や療養上の決定を支援するためのチェックリスト

  • 高齢者に治療や療養上の意向を尋ねているだろうか。
  • 高齢者に治療や療養上の決定を促すにあたり、決定により生じる影響や見通しが分かるように伝えているだろうか。
  • 高齢者が治療や療養上の意向の表明が困難な場合、適切な代諾者に判断を求めているだろうか。
  • 高齢者の意向が実現できるよう、多職種と連携できているだろうか。

2024.6 作成

医療法人社団 修世会 木場病院

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